【顔に出ない柏田さんと顔に出る太田君】についてネタバレありの感想です

何があっても顔に出ないが気持ちをはっきりと言葉にする柏田さん、何かあるたびにハッキリと顔に出るが素直な気持ちを言葉にできない太田君、という正反対の特徴を持つ2人がおりなす「好きな子にちょっかいを出したくなる」が形になったようなラブコメ「顔に出ない柏田さんと顔に出る太田君」についてネタバレを少し含んだ各巻の個人的な注目ポイントと感想です。
※9巻までの感想になります。

◆主な登場人物

・柏田(かしわだ)さん
顔に出ない。
思ったことは素直に話す。
太田君が好き。
豆が好き。
運動神経ゼロ。
狭いところが好きで、よくスキマに挟まっている。

・太田(おおた)君
顔に出る。
思ったことがあっても素直に話せない。
成績は極めて悪い。
運動神経抜群。
料理ができる。
粗暴な態度をとっているが、ものすごくいい人。

・佐田(さだ)君
太田君の友人1。
柏田さんほどではないが顔にでない。
柏田さんと太田君を1歩引いたところで観察している。

・田所(たどころ)君
太田君の友人2。
太田君ほどではないが顔に出る。
柏田さんと太田君がらみのトラブルに巻き込まれやすい。

・田淵(たぶち)さん
顔に出る。
柏田さんのファンクラブ会員(会員は田淵さんのみ)で柏田さんが大好き。
柏田さんにちょっかいをかける太田くんを敵視(ライバル視?)している。
運動神経がいい。

・小田島(おだじま)さん
割と顔に出る。
何かしたときに人の顔に出るのを見るのが好き。
すぐ顔に出る太田君が気になっている。
柏田さんの表情から考えを読み取れるが、太田君の表情から考えを読み取れない。
恋愛感情に疎い。
太田君に対し、無自覚な好意を持っている。

・鬼藁田(おにわらだ)先生
顔に出るがサングラスで分かりにくい。
柏田さんや太田君の担任の先生。
顔が怖く、生徒に人気がないことが悩み。
柏田さんと太田君とのやりとりの結果、笑いを取り入れようとするがかなり迷走している。

・太田君のお姉さん
(悪だくみしているときなど)ニヤニヤが顔に出る。
いたずら好き。

・柏田さんのお兄さん
顔に出さない。(常に笑顔)
妹(柏田さん)のことになるとめちゃくちゃ怖い。

・柏田さんのお母さん
全世界の動物の写真を撮る仕事をしていて普段は家にいない。
普段はやさしいお母さんであるが、ときどき目の光が消えて柏田さんのお兄さんが恐れるほどの静かな圧を出す。

◆おすすめポイント

・太田君が「顔に出たほうが負け」という明らかに無謀な勝負を柏田さんに仕掛けて繰り広げられるやりとりが面白い。
・「好きな子にちょっかいを出したくなる」を形にしたような展開でニヤニヤする。
・ちょこんとしたリアクションをする柏田さんがかわいい。

◆1巻

「太田のそんなとこが好きだよ」

※顔に出ない柏田さんと顔に出る太田君 第1巻 柏田さんのセリフより

蜘蛛のおもちゃを目の前に降らせても、黒板けしを頭に落としても、全く表情を変えない柏田さん。
そんな柏田さんの表情を変えさせようとやっきになる太田君は、柏田さんのペットボトルの中身を酢に入れ替えて仕掛けるが、顔に出ていたことで仕掛けたことがばれて、逆にペットボトルをすり替えられて太田君が酢を飲んでしまい失敗する。
「俺は顔に出てるっていいたいのかコノヤロー」と柏田さんに食って掛かるが、柏田さんからは意外な返事が返される。
正反対のふたりのやりとりがここから始まる。

・主なイベント
ババ抜き勝負をする。
プールで泳ぎ方を教える(教えられる)
お弁当をつくってもらう(あげる)。
授業中、SNSでリアクションしてしまうような内容を送りあって、顔に出て先生に怒られたほうが負けの勝負をする。
体育倉庫に一緒に閉じ込められる。
映画デートする。


◆2巻

「私 ずっと前から太田のこと気になってたんだけど」

※顔に出ない柏田さんと顔に出る太田君 第2巻 小田島さんのセリフより

新年度を迎えて新しいクラスなっても柏田さんと同じクラスになった太田君。
そんな中、太田君の前に突然現れた少女はいきなり告白めいた言葉を口にする。
その少女は新しいクラスのクラスメートの小田島さん。
ただ、そんな言葉を言われても特に気にせず相変わらず柏田さんの表情を変えることにやっきになる太田君に対し、小田島さんは何かとちょっかいをかけてくる。
それを見た柏田さんは放心状態になり、心は大荒れ(顔に出ていない)になる。
新しい恋のライバル(?)の登場で波乱の予感がする(かもしれない)新年度が始まる。

・主なイベント
雪合戦をする。
授業中、お題の絵を書いて笑ったほうが負けの勝負をする。
バレンタインデーでチョコを渡される(渡す)。
ホワイトデーでお返しする(される)。
太田君の家でホラーゲームする。
柏田さん×太田君ペアと小田島さん×田淵さんペアでテニス対決する。
校庭でお花見する。


◆3巻

「…浴衣 可愛(かわい)」

※顔に出ない柏田さんと顔に出る太田君 第3巻 太田君のセリフより

夏祭りを楽しむ柏田さんと田淵さん。
ふたりが会場を回っていると、佐田君と田所君と夏祭りに来ていた太田君と出くわす。
浴衣姿の柏田さんに浴衣が似合っているか聞かれた太田君は表情がわからないよう顔をそむけ、似合ってないと言ってどこかにいってしまう。
花火が始まり人が多くなり、その混雑の中で柏田さんはみんなとはぐれてしまう。
どこかに行っていた太田君は佐田君と田所君とは再会するが柏田さんがみんなとはぐれたことを聞き、探しに行くために帰るふりをして柏田さんを1人探しに行く。
はぐれた柏田さんが知らないおじさんに声を掛けられてとまどっているところを見つけた太田君は、
とっさに柏田さんには彼氏がいると言っておじさんから引きはがして救い出す。
おじさんに連れていかれそうになった柏田さんに説教する太田君であったが、柏田さんに彼氏はいないと言われ、言い訳をする太田君の顔は真っ赤になる。
そんな太田君を柏田さんはじっと見つめる。
「ドン」「ドン」
花火が打ち上がる中、太田君の素直な気持ちが口からこぼれ出る。

・主なイベント
相合傘で帰宅する。
柏田さんのお見舞いに行く。
みんなで海に行く。
肝試しする。
虫取り勝負する。
夏祭り。


◆4巻

「いつも太田は私のことをみつけて助けてくれる」

※顔に出ない柏田さんと顔に出る太田君 第4巻 柏田さんのセリフより

合唱コンクール1週間前。
放課後に練習しようとみんなが集まる中、柏田さんは帰ってしまう。
それを見た太田君は柏田さんが音痴とにらみカラオケに誘うと、柏田さんはあっさりとOKする。
佐田君、田所君も野次馬的についてきて、4人でカラオケを始めるが太田君は得点が高いほうが勝ちという勝負を柏田さんにしかける。
意外性を発揮し歌のうまさをみせる太田君であったが、柏田さんの合いの手が気になり得点は伸びない。
そして柏田さんの番になったが、選曲はまさかのラップ。
まったく聞こえない。
と思いきやかすかに聞こえる「YO…」「YO…」
耳を澄ますと、ちゃんと歌っている。
見事、太田君よりも高得点をたたき出す柏田さん。
ここで、合唱コンクールの練習に参加しない理由が声がでないことと告げる柏田さんに対し、太田君が声を出しかたを教えてやると指導を始める。
そして、1週間後。合唱コンクール当日。
少し自身がついた柏田さんはみんなと一緒に合唱コンクールで歌うことができて、無事にコンクールが終わる。
合唱コンクールの後、屋上で太田君に感謝を告げる柏田さん。
幼稚園の頃も同じようなことがあったというと、「忘れたよ」と言いつつも太田君は顔を赤らめる。
そんな太田君の顔を見て、思い出してくれたことを感じそっとほほを赤らめる。

・主なイベント
教室に発生したゴキブリとバトルする。
柏田さん、汗をかく。
激辛カレーで勝負する。
罰ゲームトランプする。
文化祭でメイド喫茶する。
太田君のお姉さんと柏田さんのお兄さんが出会う。
校庭の落ち葉を集めて焼き芋を作る。
合唱コンクールの練習をさぼってカラオケに行く。
学校の屋上で流れ星を観測する。


◆5巻

「…おまえがいなくなるとつまらねーからな…行くなよ…」

※顔に出ない柏田さんと顔に出る太田君 第5巻 太田君のセリフより

太田君や柏田さんと別のクラスになってしまった田淵さんから、柏田さんのクラス移籍をかけて体育祭で勝負を挑まれる太田君。
そして迎えた体育祭当日。
鬼気迫る勢いで玉入れする太田君と田淵さん。
騎馬戦、借り物競争、障害物競争、数々の競技の結果、同点となりお互い譲らない展開で迎える最終種目の二人三脚。
競技が始まるが、佐田君とペアを組んで走りはじめた柏田さんの異変に気付く太田君。
足が腫れていることに気づき、太田君は柏田さんを棄権させて保健室に連れて行き手当てする。
保健室で手当てを受ける柏田さんは太田君と別のクラスになりたくなくて負けたくなかった気持ちや、太田君も頑張っていたこと口にする。
そして、それを聞いた太田君は否定するが、顔を見つめてくる柏田さんにウソだと指摘されると、少し目をそらし素直な気持ちを口にする。
柏田さんはこのまま田淵さんのクラスに移籍してしまうのか?

・主なイベント
調理実習。
書道の授業。
お笑いライブを見に行く。
プリクラを撮る。
体育祭。
太田君と柏田さんがデパートで遭遇し店内を一緒に回る。
柏田さん、太田君のお姉さんとお買い物する。


◆6巻

「今日の夜、渡したいものがあるんだけど」

※顔に出ない柏田さんと顔に出る太田君 第6巻 柏田さんのセリフより

みんなが特別な思い出を作りたくなる中学校最後の修学旅行。
太田君は田所君、佐田君、柏田さん、小田島さんと同じ班になる。
行先は東京で2泊3日の工程。
有名タワー、遊園地、観光地、動物園、美術館などをめぐる中、いつもどおり太田君は柏田さんにちょっかいを出し、小田島さんからは逆にちょっかいを出されるという構図で進む修学旅行。
小田島さんにちょっかいを出される太田君を見て、顔には出ないがやきもきする柏田さん。
恋愛感情に疎いまま太田君をいじり続ける小田島さん。
顔に出るが素直になれない太田君。
そんな三角関係が生まれる中、2日目の夕方を迎え、意を決した柏田さんはこっそり大田君へのプレゼントを購入し、待ち合わせる約束を取り付ける。
そして、それを聞いた小田原さんの心に変化が現れる。
太田君、柏田さん、小田島さんは特別な思い出を作ることができるのか?

・主なイベント
修学旅行


◆7巻

「もう少し このまま」

※顔に出ない柏田さんと顔に出る太田君 第7巻 柏田さんのセリフより

修学旅行を終え受験シーズンになって迎えたある日の昼休み。
太田君はダッシュでどこかに行く。
旧校舎の物置。
そこは太田君が誰にも邪魔されずに集中できる秘密基地。
誰もいないことを確認して入ろうとすると、あっさりと柏田さんに見つかってしまう。
太田君はこの場所のことを忘れてさっさと帰るよう柏田さんに伝えるが、柏田さんは居座りつづけて太田君との会話を続ける。
受験や、進路の話。
太田君が男子校を受けること。
1人になりたい太田君と、太田君といっしょにいたい柏田さんの会話が続く中、太田君の声が漏れたことで秘密の場所がばれそうになる。
なんとかやり過ごしたものの、ばれそうになったことで柏田さんに対しとっさに
「テメェじゃなかったらとっくに追い出して…」
と言いかけて口ごもる太田君。
また来ていいかと聞く柏田さんに対し、太田君は勝手にしろとそっけなく答える。
いっしょにいれるこの時間をかみしめて、柏田さんはまた太田君に話しかける。

・主なイベント
進路の面談する。
太田君と柏田さん、学校で雨宿りする。
柏田さん家出して太田君の家に行く。
柏田さん、太田君の家で太田君のお姉さん考案のすごろくをする。
太田君、いつものメンバーで柏田さんの家に遊びに行く。
ハロウィン。
柏田さん、太田君の秘密基地で一緒に過ごす。


◆8巻

「私…太田が好き」

※顔に出ない柏田さんと顔に出る太田君 第8巻 小田島さんのセリフより

いつもと様子が異なる太田君。
そんな太田君に対し「柏田さんに告白しようとしているのか」と尋ねる佐田君。
それを太田君が否定していると、そこに小田島さんが現れ、みんなで水族館に行こうと誘われる。
佐田君はこれは告白のチャンスだとと太田君に耳打ちし、また否定する太田君。
そのリアクションを見ていつもどおり太田君を茶化す小田島さん。
ただ、そこには別の想いを秘める。
修学旅行ではできなかった太田君への告白。
小田島さんはこの水族館で今度こそ言おうと決意する。
親友である柏田さんにもそのことを伝えるが、それを聞いた柏田さんは自分も太田君が
好きだということを小田島さんに伝えることができないまま当日を迎える。

待ち合わせ当日。
みんなで水族館に入るが、柏田さんはすぐにみんなとはぐれてしまう。
小田島さんは太田君とふたりきりになろうとするが、そこには太田君の姿も見あたらない。
そんな中、大田君ははぐれた柏田さんを見つけだす。
居場所を見つけられ、なんでわかったのか尋ねる柏田さんに対し、柏田さんは十分わかりやすいという太田君。
そこに、大田君を探していた小田島さんが現れると、柏田さんは急にその場を離れる。
追いかけようとする太田君を掴んで止める小田島さん。
急に止められて小田島さんに疑問を投げかける太田君。
沈黙。
そして、ついに小田島さんはその思いを告げる。
柏田さん、太田君、小田島さんの三角関係はどうなるのか?

・主なイベント
柏田さん、占い師に恋愛運を占ってもらう。
柏田さん、顔に出かける。
柏田さんと太田君、プールで遊ぶ。
大田君の過去(不良時代)が明かされる。
柏田さん、不良にさらわれる。
柏田さんと太田君、催眠術をかけあう。
みんなで水族館に行く。


◆9巻

「柏田…俺…柏田が好きだ」

※顔に出ない柏田さんと顔に出る太田君 第9巻 大田君のセリフより

意を決した太田君は柏田さんを呼び、気持ちを口にしようとするが、タイミングが悪くなかなか話すことができない。
そこで、太田君は柏田さんを放課後にいつもの秘密基地(7巻参照)に来るように伝える。
放課後。
先生に居残りをさせられ教室から抜け出せないと焦る太田君。
大田君が焦りながらも、がらんとした教室を見渡すと、急に柏田さんが目の前に現れる。
突然現れた柏田さんに太田君が驚いていると、柏田さんはそっと「わかるよ、大田のことだもん」と言い放つ。
そんな柏田さんをまっすぐに見つめた太田君は口を開く。
いままで素直になれず、伝えることができなかった想いが伝わり、でこぼこな二人の関係が大きな転機を迎える!!

・主なイベント
大田君、柏田さんに告白する。


◆最後に

最初から柏田さんがストレートに気持ちを出していて好きバレ状態のため、基本的には太田君が素直になるのを待つ形で観察する展開になっていて、二人のやりとりにニヤニヤしてしまいます。
太田君が柏田さんの表情を変えようとあれこれ仕掛けてもから回りしたり、明らかに分の悪い勝負を持ち出して完全に負けてしまう展開も絶妙で面白いです。
柏田さんの表情が分かる小田島さん、めちゃくちゃ怖い柏田さんのお兄さん、いたずら好きな太田君のお姉さんなど濃いキャラも少しずつ増えてきていて、今後の展開が楽しみです。

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