ネタバレ感想です。
テレビシリーズでもおなじみとなった池井戸潤さんの小説「不祥事」原作の「花咲舞」シリーズの続編、タイトルはそのまま「花咲舞は黙ってない」が発売されました。
相変わらずさえない相馬さんとのコンビでいつものように臨店をするところからスタートしますが、最後の展開は相変わらずのびっくりです。
そして、まさかのあのひとが登場します。
◆主な登場人物
本書にも紹介はありますが、取り合えず本作で感じたこととあわせて紹介します。
・花咲舞
不正が疑われると踏み込んでどんどん暴いていきます。推理力まで冴えてきていますので、前作「不祥事」以上に黙っていないです。
ただ、今回は前作以上に大きな敵に立ち向かうことになり、なかなか厳しい展開になっています。
・相馬さん
事務部臨店グループの調査役です。相変わらずのマイペースでのらりくらりと、各臨店先の地域でうまそうにメシを食べています。
前作以上に権力のある人に対する弱さに磨きがかかっている感じです。
また、今回は厄介毎に足を踏み込み過ぎた(花咲舞に巻き込まれてですが、、)ことで、最後にはあおりを受けることに、、、
・芝崎次長
こちらもマイペースで臨店グループを仕切っている次長です。
いい人感がにじみ出ていますが、今回は少し切ないこともあったみたいです。
・昇仙峡玲子
企画部の調査役です。花咲舞とは対立していますが、最終的に本作でうごめく闇の不正をあばく鍵を握る人です。
◆あらすじ
・第一話 たそがれ研修
芝崎次長がたそがれています。
最終的に役員などになれないシニア職員は出向などで銀行から離れる運命にあるようで、その対象になるであろう芝崎次長がシニア研修を受けてかなり凹みつつも、「情報漏えい」があるとの指摘があり、臨店するところから始まります。
たそがれ世代で将来のはしごをはずされた人の切なさを含んだ話になっています。
・第二話 汚れた水に棲む魚
ここで企画部の昇仙峡調査役が登場します。同部の部長の紀本部長から企画部特命調査役を命じられ、
「行内を見渡し、不都合な事実を洗い出し、当行の利益を守る」
※引用:花咲舞がだまってない第二話より
と何ともすごい役目を担います。
この話はでは、水槽を扱う会社が登場し、そこでは水をきれいにする洗浄装置なども取り扱っていますが、これが今回の不正にまつわるタイトルとうまく連動した話になっています。
あと、相馬調査役がアクアテラリウム好きということも判明します。飲み食いだけが趣味ではなかったようです(笑)
・第三話 湯けむりの攻防
この話では東京第一銀行と産業中央銀行の合併の話がでるのですが、ここでは温泉地での融資をめぐる、合併前の銀行同士の前哨戦といった内容になっています。
そして、産業中央銀行といえばあの男、、、
そう、この話の攻防ではまさかの「あの男」が躍動しています。
・第四話 暴走
のっけから、世の中への不満を持った人が車で暴走して事故を起こしたニュースを二人が見ているところから始まります。
ただ、この事件の深層にはまたも銀行の闇が絡んでいることにこの時点では気づくよしもなく、またまた臨店するところから話が展開していきます。
・第五話 神保町奇譚
悪い話と思いきや、いい話です。
亡くなった方の預金通帳が勝手に使われているという不正使用疑惑から、ひも解くとそれはある人の切なる願いから行われたことだと判明します。
実際の内容としては問題がありそうですが、だいたい花咲舞がずばっと悪を断罪することが多いこのシリーズでは、このパターンは珍しいです。
・第六話 エリア51
東東デンキの粉飾決済、メーンバンクの東京第一銀行はまたも大打撃をうけますが、実はこの事実はもっと前から知られていたことが判明し、ここで大きな闇が存在しているということが見えてきます。
そして、花咲舞を中心に活躍する臨店グループにその闇を露見されまいと魔の手が忍び寄り、相馬さんがまさかの異動となります。
ただ、この時点では臨店グループの現場担当は当面花咲舞1人になるという形で存続しています。
合併話も進みいよいよ核心に近づく展開になっていきます。
・第七話 小さきものの戦い
ついに、合併も最終段階に入ろうとしたところで、東東デンキがらみの問題が大きく動きます。
ただ、あくまで「いち行員」である花咲舞は臨店をこなし、同じく相馬さんも異動先で上司と部下に板挟みでぐったりしながら日々過ごしています。
そんな中、その問題から大きな闇につながる事実が判明し、それが相馬さんの移動先が大きく関係していたことで最後にまたもコンビ復活します。
そして、大きな闇の事実を暴きますが、そこではなすすべなく大きな壁が立ちはだかります。
ただの「いち行員」では最後に立ちはだかった壁になすすべなく、そこで花咲舞が特命調査役である昇仙峡調査役にその情報を託し、合併の決着と同時に闇との最後の戦いが始まります。
そしてクライマックスではまさかの、、、
◆最後に
今回の話で実質コンビが解散されたので、このシリーズが終わるのかなと少し残念な感じです。
ただ、花咲舞のシリーズは半沢直樹シリーズと世界が同じで、時系列的につながりがありますので、半沢直樹シリーズとの連動で楽しむのがいいのかもしれません。
ちなみに、主役キャラクター同士の直接的な接点はありませんが、両作品に関連しているキャラがいますので両方を読むことでより楽しめます。
ちなみに、時系列で読むなら以下の順になるみたいです。
不祥事(花咲舞シリーズ第1弾)
↓
花咲舞がだまってない(花咲舞シリーズ第2弾)
↓
オレたちバブル入行組(半沢直樹シリーズ1弾)※序盤のみ花咲舞シリーズ以前
↓
オレたち花のバブル組(半沢直樹シリーズ2弾)
↓
ロスジェネの逆襲(半沢直樹シリーズ3弾)
↓
銀翼のイカロス(半沢直樹シリーズ4弾)
最後に、この小説のネタバレ裏タイトルを言います。
「半〇直〇もだまってない」
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